「17秒会話術」から伝わるコミュニケーションについて学ぶ

言いたいことが確実に伝わる17秒会話術 (アスカビジネス)
https://www.amazon.co.jp/dp/4756912176
を読んで参考になった部分をまとめました。

概要
・言いたいことが伝わらない原因
・言いたいことを伝える秘密
・言いたいことが伝わらない話し方
・話がかみ合うポイント
・話をまとめるコツ
・話を整理するコツ

■言いたいことが伝わらない原因■

1. 言語化による情報劣化
頭の中の情報と口から出た情報に差異があること。

伝える人が上手い人は、伝えたい内容が100の状態として、その100の情報をあらかじめ把握している。一方、普通の人はなんとなく話し始めて、しゃべり終わったら、最後には100の情報になる。

2. メンタルモデルによる情報劣化
メンタルモデルとはその人が持っている知識や経験、価値観のこと。
人はメンタルモデルをもとに情報を理解する。

ミスコミュニケーションや勘違い、思い違いの類は、ほとんどがメンタルモデルの違いによって起こる。

・メンタルモデルが大きく異なる場合、話を深堀りすると理解しにくくなる
例. 専門家と専門外の人など
この場合の対応としては、大きな概念で表現したり一般的な例え話などをする。あるいは相手の知識や経験に合わせるのが伝わりやすい話し方をする。

・メンタルモデルが似ている場合は伝わりやすい
例. 十年来の同僚やお得意先、夫婦や友人など
阿吽の呼吸や以心伝心の状態になりやすい。

メンタルモデルは近いことがあっても、全く同じになるということはあり得ない。
正しく情報を伝えるには各人のメンタルモデルが違うという認識を持つこと。

■言いたいことを伝える秘密■

話を俯瞰する
まず話す前に俯瞰して、整理してみる。
俯瞰していないと話が拡散して、どこに辿り着くのかが予想つかない。

俯瞰した内容を17秒で話す
話を俯瞰できても、わかりやすく伝えられるとは限らない。
「わかりにくい話し方をする人」と「わかりやすい話し方をする人」の違いは"話の簡潔さ"にある。

Q. なぜ17秒なのか?
A. リハーサルなしで聴き手が記憶でき、かつ話し手が簡潔に表現できる限界時間
17秒を超えたあたりから冒頭の言葉から順に忘れていく。20秒以上だと長い話に感じる。携帯番号の留守番伝言メモは20秒に設定されていることが多い。
引用: 「ブラウン・ピーターソンパラダイム」の短期記憶の実験結果
http://wikimatome.com/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%3D%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A0

・17秒で伝えることの3つのメリット

1. 明確にポイントを絞ることができる
17秒で話さなければならないという制限によって、必然的にポイントを絞ることになる。

2. 相手の理解の成否を確かめることができる
すぐに相手の理解を確かめることができて、情報の劣化を抑えることができる。

3. 相手の記憶に残る確信がもてる
聴き手のみならず第三者への伝言もちゃんと記憶に残る。

■言いたいことが伝わらない話し方■

「話が長い」
原因1. 結論がはっきりしない
結論を言わずに、根拠や原因から話している。

原因2. 表現が曖昧
曖昧な表現あるいは接続助詞を頻繁に使うことで、一文が長くなっている。

曖昧な表現の例

  • 「~とは言いかねる」
  • 「~かもしれない」
  • 「~とも限らない」
  • 「~ということもある」

接続助詞の例

  • 「~が」
  • 「~で(て)」
  • 「~けど」

原因3. 重要な情報と些細な情報が混在している
何が重要であり、何が不必要なのかが把握できていない。

「意味が分からない」
原因1. 主語が分からない
複雑な内容において、主語をはっきりさせずに話し続けている。

原因2. 話題が飛ぶ
思いつくままに話しをしている。

「好きなことだけ話している」
原因1. 一方的に話している
相手の理解や興味と関係なく話している。

原因2. 話の展開を予想できない
話の途中で話のゴールが見えていない。

■話がかみ合うポイント■

1. 質問に直結する内容から話しはじめる
大抵は文末に一番聞きたいことが来るので、この最後の部分に直結するような内容を最初に答える。

「○○についてどう思うか?」
→「○○については△△と思う」

「○○はどうだったか?」
→「○○は△△だった」

しかし状況によっては、結論に至った経緯や背景から話した方がわかりやすい場合もある。その場合は、直結した内容との関連性を明示してから話しはじめるようにする。

2. 相手の話のキーワードを見つける
相手の話の中心となるキーワードを的確にとらえて、理解や認識のズレをなくしていく。
最後まで注意を払って、キーワードに則した話題で話を進めるようにする。

3. 曖昧な表現を避ける

・言葉を定義する
全く同じ言葉をお互いに使っていても実は違うことを指していることがよくある。
例. コミュニケーション、優しい人など
この例だと、コミュニケーションや優しい人などについて事前に定義しておくと、誤解もなくなり、聴き手の印象に残る。

・数字や量など具体的な言葉で示す
数字や量など具体的な言葉を入れるだけで、主旨がはっきりしてきて正確に伝えられるようになる。

「今週のレポートはいつできるの?」
→「来週の金曜日までにやります」
「今月の売上目標達成できるのか?」
→「現在80%達成しているので今月末までには大丈夫です」
「○○は、どれだけ必要なんですか?」
→「30個必要です」

4. 話の方向性を意識して接続詞を選ぶ
接続詞の使い方で、話の筋立てが、そして論理的か否かが、決まってくる。
話の全体像を把握した上で、それぞれの内容のかたまりを意識して、それらの関係を表現する接続詞を選ぶようにする。

  • 順接

前の文や内容から続く文や内容が道理にかなって順当な場合
<すると、そして、ですから、なので>
例. 「私はそのまま会議室に残っていました。すると、部長がまた戻ってきました。」

  • 逆説

前の文や内容から続く文や内容が逆になっている場合
<しかし、けれども、ところが、とはいえ>
例. 「私は一時間かけて彼を説得した。しかし、私の意見は聞き入れらなかった。」

  • 選択

前後の文や内容で比べたり選んだりする場合
<または、あるいは、もしくは、ないしは>
例. 「書類の提出は私、あるいは○○部長までお願いします。」

  • 補足

前に付け加える、補う場合
<なぜなら、ただし、つまり>
例. 「今回の失敗の原因はプランの甘さにあると思います。なぜなら、データの裏付けがないままこれを立ててしまったからです。」

  • 並列

前後を並び連ねる、付け加える場合
<および、なおかつ、ならびに>
例. 「英語および中国語は我が社では必須である。」

  • 転換

前に対して話題を変える場合
<次に、では、ところで>
例. 「手順をご説明します。まず、封筒を開けて書類が入っているか確認してください。次に、氏名を記入してください。」

5. 聴き手の興味・理解を確かめる

・聴き手の反応をキャッチする
原則として1トピック、一つの話題が終わったら相手は理解してくれたかどうか、興味を持っているか確かめる。

  • 表情

ちょっと眉間にシワをよせ、納得していないような顔
→理解できていない
視線が合わない
→興味がない
視線をキョロキョロさせている
→理解できていない

  • 動作

ひたすら資料を見ている
→興味がないあるいは理解できていない
椅子に完全に寄りかかっている
→興味がないあるいは理解できていない
時計を見る
→興味がない
ペンをいじっている
→興味がない

人間は言葉以外にも気持ちを表現しているので、このサインを見逃さないようにする。

・質問力を高める
適宜質問をすることで、話の方向性や話し方に修正をかけることができる。
質問は聴き手に負担のないようにする。

  • 興味を確かめる

「~はいかがでしょうか?」
「~はお好きですか?」
「~はおやりになったことがありますか?」

  • 相手の理解を確かめる

「ここまではよろしいでしょうか?」
「何か気になるところは、ありませんか?」
「気になるところがあれば、いつでもおっしゃってください。」

■話をまとめるコツ■

1. 結論から話す

・結論から話すと「結論→理由」、「結論→原因」、「結論→具体例」という構造になるため、話がズレにくくなる

・言いにくい結論はクッション言葉を使う

あいにく
せっかくですが
申し訳ございませんが
恐縮ですが
恐れ入りますが
悪いんですけど
例.「あいにく、本日は予定が入っておりまして…せっかくですが欠席させて頂きます。」

・もう一つ主旨や結論をソフトに伝える方法として、質問形式でお願いする方法もある

「~いかがいたしましょうか?」
「~をお願いできますか?」
「私は~ですが、どう思われますか?」
例. 「私はAプランがいいと思いますが、部長はどう思われますか?」

2. そのまま伝えない

・第三者の言ったことをそのまま引用する直接話法的な表現はしない
話が長くなりやすく、また誤解を生んでしまうことがある。

・そのままではなく自分の表現に置き換えて話す
意見のまとめや整理を通し、話のポイントを鮮明にすることができる。
また洗練された印象を与えることができる。

3. 漢字表現を使う

・熟語や漢字表現に置き換えると文意にインパクトを残せる
例. 「○○社に転職する際の気持ちと言えば、チャンスであったもののやはり不安を感じました。まさに虎穴に入らずんば虎子を得ずですよね。」

・漢字表現は意味を昇華させる
主観的な感情表現を超えて、客観性のある事柄として意味付けられるということ。

4. 文章は短く

・まとまっていない話というのは、大抵一文が長い
一文を短くするようにする。

・間をとる
話のポイントの前後には間を取る。
コンマ数秒の間があるだけですっきりとまとまりが際立ち、簡潔な文の印象を与えることができる。

5. 聞き上手になる
まずは話をまとめようとするよりも、話を聞くことに集中する。

・聞き上手のメリット
人間関係を構築する、情報が集まる、自分の能力をアピールできる、話す力を高められるなど

・聞き上手になるポイント
相手が話しやすい雰囲気を作る。

聞き上手度チェック

  • タイミングよく相槌を打っているか
  • アイコンタクトをしているか
  • 笑顔を心掛けているか
  • 頷いているか
  • わからない時には質問しているが
  • 相手のキーワードを復唱しているが
  • 相槌は「はい」や「うん」だけでなく「なるほど」、「そうなんですか」など感情的な表現でしているか

逆に否定的なフィードバックをすると聞き上手になれない。
相手に話す気をなくさせてしまう。

「そうなんですけど…」
「でも、…ですよね」
「いえ、…ではないです」
「だけど…です」

相手の話をまとめる際は、クッション言葉を使う。

「おっしゃったことは、~であると理解してよろしいでしょうか?」
「おっしゃったことは私なりに解釈してみたのですが、~ということでよろしいでしょうか?」
「ちょっと質問させて頂きたいのですが、おっしゃったことは、~ということでしょうか?」

■話を整理するコツ■

1. 階層を揃える
階層とは、その内容が意味する概念の大きさや深さのこと。
階層を揃えるとは、同じ大きさの意味や概念で揃えて整理することである。

例. 希望の会社の3条件→①仕事内容、②報酬、③勤務地だとする
この3つのポイントが同じ階層になるように話す
「会社選びのポイントは3つあります。①…②…③…です。」

階層を揃えるテクニックは、聴き手にも階層が揃っていると、はっきりわかる表現にする。例えば、「○○レベル」とするなら、同じ階層は「○○レベル」と表記を統一する。
例. ☓ 利便レベル、経済レベル、知られている度合い → ○ 利便レベル、経済レベル、認知レベル

2. スペーシャルパターンで整理する
空間的に整理する方法。

・対比(個人主義集団主義など)
・因果関係(結果→原因)

3. クロノジカルパターンで整理する
時間の流れにそって整理する方法。

・時間の推移(過去→現在→未来など)
・段階ごと(小→大、易しい→難しい、単純→複雑など)

コミュニケーション能力はビジネスパーソンにとって不可欠なので、日頃から意識していきたいですね。
以上になります。

参考:

誰でも短時間で確実に言いたいことを伝える17秒会話術 | ブクペ